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  • 執筆者の写真te to ba <手と場>

五島移住 / ③ 住み続けていくこと

こんにちは、marieです。

五島移住の記事では、暮らしのことと仕事のことをざっくりと書きましたが、早いもので3年が経とうとしています。

今日のブログでは、「移住」というアクションから「住み続けていくこと」について書いています。

以前のブログ、「①暮らすこと②仕事のこと」は、内容を今読み返しても特に古い情報というところもないので、今から島に移住を考えている方は、ぜひそちらもご覧ください。


オーナーのmarieです。改めましてこんにちは。


「住み続けられるまちをつくる」

最近私はこの言葉をよく口にしています。te to ba <手と場>の大事な活動の一つは「五島の魅力を伝えること」。なぜ、五島の魅力を伝え続けたいのか。これは、ひとえに自分達が今住んでいる島が住み続けられる島に、まちにしていきたいからです。


我々は、ここ五島を気に入っているので住んでいます。しかしたまに、


「なんてこった・・・」


と絶望的な気分になり、島からちょっと脱出することもあります。 それでもそのまま帰らないということは今までなかったので会社もお店も継続しています。しかしこのまま何もしなければ「帰りたくない」と思ってしまうかもしれません。そうなったら大変。何か行動を起こさなければいけません。 身軽にひょいひょい移動ができる距離でもなく、次の行き先で仕事も家も見つからない不安もあります。

そんな不安があるので、自分達が「帰りたい・住み続けたい」と思える島、まちにしなければと強い危機感を持っています。



移住者が五島・福江島に集まる理由

多い年には年間200人以上の人が移住をしてきています。

豊かな自然、美味しい食事、都会にはなくなってしまった古き良き日本の姿・・・いろんな理由でここに心を奪われ移住をする人がいたり、単に仕事の転勤などで移住をする人も。

自分の意思で移住する人の中には、行政からの手厚い金銭的な支援があるので他の地域と比べて五島を選ぶ人も多いかと思います。



移住のその後


いろんな理由で移住をしてきた人たちが集まり、最近は「移住者」という言葉がとても身近なものになりました。私、marieが移住してきた頃は、移住者=エイリアン?のような、突然現れたよくわからない人間たちと捉えられることもありました。それぐらい数が少なかったんです。


現在、多くの移住者がこの土地に馴染み、仕事を探して就職し、島での生活を楽しんでいます。

少数派ですが、移住を機に起業やお店を始めている人々もいます。

お店や会社をするためには、集客が必須なので情報発信をしますよね。そうすると目立ちます。そのため移住者=新しいお店を作る!と考えている人もいるのですが、実際は少数派です。どこの企業も人手不足のためハローワークの求人情報にはたくさんの求人が掲載さています。


とは言え、夢を叶えるために地方への移住を考えている人も多く、以前のブログで何度も書いたけど、カフェ、ゲストハウスをやりたい!と考えて移住してくる人は未だたくさんいるように思います。



ちょっとしんどいなと思った時によく通っていた高崎海岸。朝日を見に行ってました。



人口減を防ぐことがなぜ重要?

五島市は積極的に人口減少を防ぐための対策を打ち出しています。その一つが移住者の誘致です。

でもそもそもなぜ人口減少を防がなければいけないんでしょうか?


人口が減少すると、地域にとって必要な専門的な人材や労働力が不足していきます。

その結果、地域経済の循環ができなくなってしまい、人材だけでなくモノやこと、全てのことを外部に依存しなくてはいけません。


そうなってくると、公共サービスの維持も困難になってきます。例えば、小中学校や医療施設などの公共サービス。最近もいくつかの小学校が閉校するお知らせが届き不安が募る一方です。


五島は国境離島であり、他国と接する離島です。 もしこの島が人口ゼロになってしまった場合、他国に領土を・・・なんて心配まで浮上するのです。


年間200人の移住者がいてもこの島の人口減少は止まっていません。自然減も多いのですが、人口の流出も止まっていないのです。

令和 2 年国勢調査における人口は 34,391 人。平成 2 年からの 30 年間で 約 2 万人の人口が減少しています。


この島には大学や専門学校がないため、進学を希望する学生は島を離れることになります。

それは仕方ないことではあります。

また、高齢化率が約50%とということで超高齢化社会です。お亡くなりになる方も多いです。これも仕方ありません。


しかしこれはあくまで実感なのですが、移住またはUターンをしてきた人が島を出ていく

これが少なくないのです。


メディアでは、移住者のことや、移住のhow toが取り上げられることが多く、島を離れていった人に対するインタビュー等はなかなか見ることができませんので、イメージしにくいかもしれません。



島を離れる理由

さきほど、私もたまに島を脱出することを書きました。


私が島を離れたくなる理由は


・映画をみたい

・買い物をしたい

・会いたい人がいる


という割とライトな理由から、


・人と人の距離感が近く、どこにいっても「見られている」ことに疲れた

・アウトプットに必死すぎて、インプットができずアイデアが枯渇してしまった

・島で得られる情報に限界を感じた


こんな理由で何度か島を飛び出してきました。

今は便利な時代で、スマホがあれば情報だって映画だって見れるかもしれませんが肌で感じる空気感や、香りなどまだまだその場にいかなければ得られないことが多いです。


特に五島は、映画館や美術館がありません。

美術館が好きで、週末には必ずどこかの美術館に足を運んでいた時もあったので、

今はそんなに気軽に美術館に行けないことがとてもストレスになっています。


また、どこにいっても「見られている」と感じることも大きなストレスになることがあります。

たまに職場でもなく、家でもないどこかでゆっくり本を読みたい気分になります。しかし、安心して本を読める場所が思いのほか少ないんです。お店に入れば誰かと会ってしまうんですよね。

自然の中で本を読むのもたまにはいいのですが、紫外線と虫との戦い、さらに最近は猪なんていう戦えそうもない相手が出没することもあります。


これらはあくまで私が島を離れたいと思う時の理由なので実際に島から離れて戻ってこない人々のお話全員に当てはまることではありません。


下記は島を離れた人が述べてくれた理由です。


・一時的に島で就労してもその就労先のビジネスが長く続かず、他の就労先を探すことができなかった

・仕事が自分に合わず、人間関係が密な島なので島に居続けるのが苦しくなった

・医療機関などの公共サービスが不安になった

・子どもの教育、進学のため

・ご近所さんとうまくいかず身の危険を感じた

・地域活動が思った以上に多く負担に感じた

・地域を良くして欲しいという過度なプレッシャーを感じた

・娯楽が少ないと感じた



これらはあくまで、数人の人から聞いた言葉ですので全員では決してありません。止むを得ない理由で去っていく人や理由もなく出ていく人、いろんな場所を旅しながら暮らしている人もたくさん見てきました。

旅をしながら暮らすことが好きな人もいると思いますが、どこか落ち着いた場所に拠点を持ちたい、暮らしたいと思う人の方が多いと思います。


私たちもたまたま五島に出会い、ここで生活をしていきたいと思い、人生という航海における船の碇をおろしました。

ここから引っ越すということは最初からあまり考えておらず、できればこの先も引越しを経験したくはないなと個人的に思っています。そのためにも、住み続けられる島、そしてまちにしていかなくてはいけないと思っています。




住み続けられるまちをつくるために

ここで育った子どもたちや、Uターンをしてきた人、移住をしてきた人がここに住み続けたいと思うにはどうしたらいいでしょうか。

このローカルな問題は、グローバル規模の問題、「地球に人類が住み続けられない日が思っている以上に早くやってくる」問題に直結しています。


私たち、te to ba <手と場>の目的が「住み続けられるまちをつくる」なのは決して綺麗事ではありません。

ボランティア団体でも、地域活性化団体でもありません。


私たちはまだまだ稼いでいかないと生活ができません。

五島に住んでいなくても働かなければならないのでどこに住んでいても一緒です。


自分たち自身が生活をしていくために仕事としてお店や宿を営んでいますが、自分たちだけよければいいという考え方は、持続可能ではありません。一時は稼げるかもしれませんが、自然が破壊されたり、誰かが搾取されたりすればせっかく今ある「資源」を失ます。五島の資源は、自然や人です。

特に自然については一度失ってしまったら戻すまでにどれだけの時間がかかるか。

たくさんの人に五島のことを知ってもらおうとYouTubeやブログ、誌面などで五島の良いところを紹介しています。その紹介されたものをきっかけに五島に訪れてくれる人もいます。

それらの良いところを失えば、五島に人が立ち寄る理由がなくなってしまうかもしれません。

そうなれば、今やっている事業もいずれ立ち行かなくなってしまう。人口減が止まらないため、島民だけを対象としたビジネスは、顧客を確保しつづけるのが難しいからです。





「五島の魅力を伝え、五島のファンを作り、住み続けられるまちをつくること」

どうしたらいいか、私たちもも毎日手探りです。正解はわかりません。

しかしこの先、会社は100年続いてほしいと思っていますし、私も100歳までは元気に生きていたいと思っています。


そのために手と場では以下の取り組みを行なっています。 ショップ&カフェ te to ba <手と場>

◼︎カフェ部門では

五島の食材を使ったランチメニュー、スコーン、オリジナルドリンクなどの提供、販売をし、食を通して五島の魅力を伝えることを目指しています。

五島の食は本当に豊かです。お魚だけではありません。豊かな食を、季節ごとに丁寧に保存食にしたりしながらお店に来るお客さんにも楽しんでいただけるようにしています。


もともとは地域の「コミュニティの場」として「手と手を合わして場をつくり」ました。

コミュニティの場としてのte to ba <手と場>は、現在も存在しています。

コミュニティだけでは、「飯は食っていけない」ので、ご飯とスコーンを売っています。



一番人気のte to ba <手と場>のランチプレート。


毎朝焼いているスコーン。お持ち帰りにも人気です。

◼︎ショップ部門では

五島の作り手さんが作る良いものを、紹介、販売しています。

「五島にはこんなものがあるんだ」という情報を編集し、発表する場にもなっています。

また、島内の作り手だけでなく島外の日本の良いものも積極的に取り扱っています。自身で使っていて「ずっと使い続けたい」と思うものを島の人にも使ってもらいたいと思ってセレクトしています。

最初は、このお取引先もなかなか見つからなかったのですが徐々に、お取引できる作り手さんも増えてきています。目標は「この店があるから私も移住しよう」という作り手さんが来てくれることです。





ホステル

◼︎ta bi to <旅人>は

te to ba <手と場>での取り組みでは、伝えきれない「このまちの魅力」に気づいてもらうためにゲストハウスを経営しています。

まちの魅力はカフェに立ち寄っただけではわからないものが多いです。

例えば平日の朝、野菜をリヤカーに乗せて売っているおばあちゃんがいたり、公園で学年関係なく遊んでいる子どもの姿があったり、海から昇る朝日のきらめきが美しいことなど。

このような滞在することで見えてくる良さに気づいてもらい、また五島に来たいと思ってもらうこと、ここに住みたいなと思ってもらうことを目的としています。




◼︎Goto Wedding

五島全体を結婚式場に!をコンセプトに提案しているGoto Weddingでは、

会場はもちろん、料理や引き出物などオール五島産を目指しています。美容師さんや音響さんなど人も五島の他社さんに依頼しています。

五島の資源を最大限に活用することで、お客様にとっては「ここでしかできない結婚式」を体験でき、事業者側にとっても直接利益を得ることができる機会となっています。

また結婚式というハレの日は、笑顔がたくさん生まれる1日です。

結婚式を挙げた二人にとってこの地が思い出の土地となり「また来たい」と思ってもらえるよう最大限努力しています。その甲斐あって、思い出の五島に足を運んでくださるということにつながっています。

1度だけでなくまた来たいと思ってもらうことはビジネスを持続していく上でとても大切なことです。








上記以外にも、te to ba <手と場>では、動画制作、配信、デザイン、イベント企画運営を通して五島の魅力を伝えています。



まとめ

長くなりましたが

「住み続けられるまちをつくること」

これはみなさんにとって他人事ではないと思います。きっと日本全国の特に、田舎と呼ばれる地域に住んでいる方は日々思うことがあること思います。


「住み続けられるまちをつくる」という目的に賛同してくれる方、ゆるっと繋がりましょう。そのうちそのゆるっとした繋がりは大きな面となると信じています。


このブログのタイトルである「住み続けていくこと」のためには、まず住み続けられるまちであることが大切です。


人がまちを作っていきます。


そして文化をつくります。


もしこれから五島へ移住を考えている人が最後まで読んでくださっていたら、

住み続けられるまちをつくることを、決して他人事にせず、自分ごととして捉えていっていただけたら嬉しいです。


わたしたちも住み続けられるまちをつくるためにこれからもできることを少しづつやっていきます。





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