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五島移住 / ② 仕事のこと

執筆者の写真: te to ba <手と場>te to ba <手と場>

更新日:2021年2月11日

五島移住について、つらつらと書いています。


①の暮らしのことについて、の次は、仕事のこと。

現在私は、te to ba <手と場>というショップ&カフェと、ホステルta bi to <旅人>の運営とブライダル事業を中心に、デザインの仕事や映像の仕事などなど、幅広くビジネスパートナーのkeiと一緒に取り組んでいます。


移住について聞いてくれる人の中には、自分で事業をしたい人なども多くいらっしゃりたくさんの質問をうけます。

このブログではそんな質問の中からよく聞かれることを書いてみました。

またまた結構長くなってしまったので、必要ないところはすっ飛ばしてでも読んでいただければと思います。



(二人とも若干疲れ気味の顔してます)



事業を始める前

移住してきたのは5年半前の2015年3月。

五島市の「地域おこし協力隊」に応募し、着任しました。

五島移住についての別の記事、①の暮らしのことでも書きましたが、

最初の3年間は、市役所の仕事をしていて今のお店の準備などは、仕事とは別に行っていました。私が着任した時の五島市の協力隊は、自由な仕事をするスタイルではなく市が用意した仕事を補佐的に行う感じでした。現在の協力隊は、よりピンポイントに欲しい人材を募集し、その仕事に適した人が着任しているので、私の頃とは全く違う形になっているように感じます。

協力隊のお仕事をしながらも、3年後には野に放たれるのでなんとかして自分で食べていく方法を考えなければと1年目からあれやこれやと構想を練っていました。

もともと移住したきっかけでもあるブライダル事業をやりたいという想いはずっと変わりませんでしたが、いきなり「やりたい!」といってできるものではないと思い、まずは人脈を作ること、土地を知ること、風土を知ることを意識していました。

そうこうするうちに、1年が経とうとする中、さすがに協力隊として市の用意されていた仕事だけをしていましたっていうのも本当に嫌で嫌で(笑)

「ハンドメイドマーケット」という手しごと市場を開催することに。

ハンドメイドマーケットについて

もともと関東にいたころ、ビッグサイトで行われていたデザインフェスタに頻繁に出店していたこともありこっちに来てからもアクセサリー作りなんかはチマチマと行っていましたが売る場所がない。

仕事の関係でいろんな人と出会っていたので島には意外にものづくりをしている方々が多いことも気づき、自分でハンドメイドマーケットを企画しました。恐る恐る出展者を募集してみると、初回では25名程度の出店者が集まりました。

1回目にしては集まったなと感じましたし、実際二日間のイベントでは約600名の来場者と、会場全体で150万円以上の売り上げが立ちました。

その時、自分には一銭もお金は入りませんでしたが

「まりえさん、ありがとう」と何人もの人が言ってくださり、大袈裟ですが自分の居場所を見つけたように感じました。

私は企画して出店者を募集して、あとはイベントの告知など、自分のできることをしただけなのですが、たくさんの方が感謝してくださりました。

さらにみなさんイキイキとして次はいつやりますか?!と前のめり。


このイベントは、協力隊が終わるまでずっと続けました。年に2回づつ。

協力隊は、予算を国からもらっていて、その予算をどうせだったらちゃんと意味のあることに使いたいと思って、場所のレンタル費用や、チラシの印刷代などに当て、できる限り出展者の負担を減らしながらも来場者を増やすこと、知名度をあげることを意識していました。

それが出展者のモチベーションに繋がり、さらに五島の手仕事の質が向上していくだろうと思ったからです。

5回目を迎えた協力隊最後の2018年の3月には、50組以上の出店者と来場者数は、3000人を超えて売り上げも350万円ほどに成長しました。

成長したのは私自身というより出展者のみなさんのクオリティがどんどん上がり、イベントも周知されてきたからです。


その時、イベントは、協力隊を卒業することが決まっていたので、この回が最後と出展者のみなさんにはお伝えしていました。本当は続けたかったのですが、


お店をすでにオープンさせていたことと、協力隊を卒業することで市からの予算がなくなってしまい、自己資金でイベントを開催するのがちょっと苦しかったので、致し方なく最後・・・という形になりました。

けれど、たくさんの方にまたやらないの?と聞いていただいたり、


私自身、このイベントで出会った人々がかなり多く、お店で取り扱うハンドメイド作家さんとも出会えたイベントでもありました。


そんな想いからまた復活させたい!と、te to ba <手と場>主催として、2019年の10月に復活させました。

助成金など一切入っていないので、起業様に協賛をいただいたり出店者のみなさんにも少し出店料をいただきながらなんとか運営しました。

2日間の開催が厳しくなってしまったので、1日だけに。

前は年に2回もやっていたのに、1年間もお休みしてしまったので、もう忘れられてるかも・・・とドキドキしながら出店者を募集し、50組以上が島内だけでなく島外からも応募してくださいました。そして当日は、開場前に、200人近くの方が並んで待っていてくれる状態に。

やってよかった・・・。

とりあえずやってよかったなと思いました。

まぁ、企業としては赤字なので、何かしら考えなきゃなと思いながら今年のハンドメイドマーケットは、コロナの関係で開催できなくなっちゃいました・・・(涙)

来年は開催できるよう頑張ります!!

起業について

起業というか、まずお店、te to ba <手と場>ができるまでのお話です。


お店ができるきっかけは、移住して2年目の夏に、廃墟一歩手前の空き家に出会ったことからでした。遠い親戚の家で、誰も住まなくなってから10年以上たった空き家でした。家の中には、元気よく緑が入り込んでいたり・・・ともはや廃墟寸前でした。

でも、その緑に逆に元気をもらって、いろんな人の力をかりながらリノベーションすることに。


(リノベ前の台所の緑。ロゴカラーの緑はこの色から)

リノベーションって、なんだかお金かけずに自分たちだけで・・・って感じの言葉に聞こえると思うのですが、te to ba <手と場>は、がっつり大工さんにも入ってもらいました。

自分でDIYとか全然できないです、わたし。

そこで1番のネックになるのはお金。

  1. 資金面のお話

まずクラウドファンディングをさせてもらいました。

コミュニティーの場を作りたい、という想いで。

クラウドファンディングのリターンには、地域起業様にご協力いただき、オリジナルのリターン+五島の海の幸、山の幸が届くというかなり豪華なリターンに。

この時はまだクラウドファンディングを行った五島のお店や企業、個人が、他に少なかったのでなんとか、目標金額の100万を達成するご寄付いただきました。

その後、新規創業時に使用できる雇用拡充事業補助金にエントリー。

600万円上限のうち、450万円の補助が出るものでした。(ただ精算払いの補助金なので自己資金もしくは銀行の融資をうけないと、なかなか厳しい)

ざっくり今のショップ&カフェ、te to ba <手と場>になるまで改修費用と、

その他の備品調達や、仕入れ、運転資金などで約700万円くらいのお金が必要だったので

450万円 補助金(補助金が出るまでの間は銀行融資)

100万円 クラウドファンディング ※正味70万円程度

150万円 自己資金

こんな感じで事業準備をしました。


補助金とクラウドファンディングについてすごく質問されることが多いので淡々と書きましたが、クラウドファンディングについてはちょっと注意したほうがよいかなと思っています。

実際、100万円ちょっとのご寄付をいただきましたが、手数料として、2割ほどクラウドファンディング運営会社に没収されるのと、リターンの郵送費などが意外にかかります・・・。ので手元には、70万円くらいしか残っていなかったです。

今は、結構クラウドファンディングも盛んに行われるようになっていてさらに、企業の市場調査などにもクラウドファンディングが利用されるようになった今、ゲストハウス 、カフェをオープンしたいという場合、かなりの情熱と誠意がないとなかなか集めるのには苦戦しそうな印象を受けます。私も今募集していたらかなり厳しかっただろう・・・と率直に思います。

でもでも成功している人もいますし、チャレンジするのは本当に大変ですが(何度も心が折れました)チャレンジすること自体は否定しませんッ。大変だけど。

よく成功するコツとか聞かれるのですが、私の場合は、クラウドだけでなく、現地で足を使って事業のプレゼンをしたり、長崎大学の学生さんに協力していただいてなんとか集めた感じです。コツとか何もありませんでした・・・数少ない友人たちに、支援をお願いしたりするのもなかなか胃が痛かった記憶があります。協力してくれた皆さん、本当にありがとうございました。


補助金についても、結構体力を使いました。

まず国のお金なので、申請書類が多かったり、15人くらいの人の前でプレゼンがあったり、採択された後にも提出する書類がとても多くて、厚さ5cmくらいのファイルが2個できました。

いろんな意見の中で補助金を使うのは良くないと言っている人もたくさんいます。

補助金をもらっている人を良く思っていない地元の方々も多いのも事実。

そういえば、お店をオープンしたてのころ、怪文書のようなハガキが届き、そこに「補助金使ってまずいカレーとコーヒー出してんじゃねぇ」っていうご意見が届いたこともありました(笑)今では笑い話ですが当初は、裏で泣きました(涙)

補助金について良いイメージを持たない人は、

補助金をもらって不正を行う人もいるし、結局事業がうまくいかなくて閉鎖しちゃう人がいたりしてそういうマイナスなイメージがどうしてもついてしまっているからかもしれません。また、よく地域創生の本などにも補助金が地方をダメにするなんて書かれていますし、少し事実かなと思ったりもします。

もちろん使わないで事業をできる人は使わないほうがいいと私自身も思いますし、次に新しいことをするときはできれば、できれば使いたくない・・・とも思っています。

でも結果として、今のte to ba <手と場>やta bi to <旅人>、そしてウェディングの事業も補助金に助けられたのは事実なので、国の税金を一度使わせてもらった以上、きちんと誠意のある仕事をしていこうと思います。

お店ができてから

te to ba <手と場>が完成したのは、2017年の12月。オープンは2018年の1月でした。

オープンしてからの1年目はとにかく目まぐるしく日々が過ぎ去って行きました。


6月に相方(ビジネスパートナー)であるkeiが五島に移住してくるまでは、アルバイトのスタッフに入ってもらいながらなんとかお店をやっていました。

実は、私自身何度もいろんなところで言っていますが、カフェをやるのが目的ではありませんでした。

あくまでも「足がかり」として、元々やりたかったブライダル事業のために、人が自由に行き来する「玄関」のような場所をつくりたくてカフェをオープンすることにしました。

中途半端にやってもすぐ潰れるのはわかっていたので、オープン前の1年は毎日メニューの開発や市場調査に追われ、オープンしてからは仕込みと接客に追われる日々で本来やろうとしていたことは全く手がつけられませんでした。

都会でいうカフェのイメージと五島でのカフェのイメージがだいぶ違うことも原因のひとつ。

カフェというとコーヒーと軽食のイメージでしたがこちらは、レストランと対して変わらないイメージを持っている人が多い気がします。がっつりご飯を食べに来る人も多く、飲み物というより、ご飯を期待していらっしゃる。

オープン直前、「カレーしか出さないのか」とか、いろいろ意見をいただき、「日替わりランチ」を出すようになってしまったので、結果として仕込みにめちゃくちゃ追われる日々が待っていました。

本来やっていきたかったブライダル事業と、keiが加わったことでさらにデザインや映像の方にも着手して行きたかったのですが、カフェの方を必死にやるだけで1年間が過ぎてしまいました。

2年目を迎える時にこれではいけない。

我々は、食事を提供する場所を作りたかったわけではない。と

いろいろ考え直し、新しい事業を半ば無理やり進めることに。

ゲストハウスと、ブライダル事業の準備を本格的に始めました。

Hostel ta bi to <旅人>について

日本語ではゲストハウスと表現されますが、和製英語だからなんか嫌だねっと、「ホステル」と名乗っていますが、いわゆるゲストハウスってやつをオープンさせました。

物件に出会うまで、宿をオープンする気は全くありませんでした。五島にはゲストハウス や一棟貸しの宿が、ものすごい勢いで増えていて絶対に事業として勝ち目がないと思っていたから。


それでもオープンさせてしまったのは、te to ba <手と場>から歩いて30 秒ほどのところに、空き家がでたこと。その物件は1Fに倉庫があり、2Fに上がる階段が古く可愛らしい物件でした。2Fに上がるとこれまた古くて可愛いドアが。

広々とした部屋が1つと、キッチン、小部屋が1つ。


その広々とした部屋が住むというより宿だな・・・とすぐに思ってしまいました。


あれだけ宿はやらないと思っていたのに、幸い富江町には民宿が1軒あるだけでゲストハウスはなく、女性一人旅の方が滞在しやすい場所を作るのはいいかもしれない・・・と思ったのが始まりでした。

そもそもte to ba <手と場>のある富江は、なかなか面白い町なのですが、滞在をしてくれる人が少なくて、モッタイないと思うことも。移住者にも何気に人気な町なので、結構家探しに苦戦する地域でもあります。それなら、ちょっと気軽に泊まれる宿をオープンし、移住希望の人でもそうでない人にも滞在することで見えてくる富江を見てもらおうかなという想いでオープンさせました。

宿は当初2020年の3月末にオープン予定でしたが、見事にコロナウィルスの影響でオープンができなくなってしまいました。8月にどうにかひっそりとオープンさせましたがほとんど告知も行っていないのでお客さんはまだまだ少ない状況です。

大きなお部屋が一つしかないので、ドミトリーはミックスドミトリーのみのta bi to <旅人>ですが、女性一人でも宿泊しやすいようにボックス型のベッドで、カーテンも二重カーテンにしています。

このボックスは、船をイメージして作ってもらいました。

旅人が船に乗り、旅して各地をまわる中、富江にイカリを下ろして滞在していく。ボックスの中のライトが部屋全体に溢れるのが漁火のように、見えたりするのも素敵かなと。




個室はクイーンサイズのベッドとデスクのあるお部屋。長期滞在にもおすすめ。




ホステルの1F、倉庫だった部分は、半分はコミュニティースペース兼ブライダル事業の打ち合わせをする場としてオープンさせました。

漆喰の壁の色とか、すごくこだわってもらったのですが、なかなか起動していない現状(苦笑)コロナに振り回されている2020年ですね。



ブライダル事業について

ブライダル事業を本格的にオープンさせるにあたり、以前からずっと追っかけていた「Happy Outdoor Wedding」という事業を立ち上げられた柿原さんに実際にお会いしていろいろと事業計画を見てもらいました。

さらに必要になるであろうグッズなども見繕ってもらったりと、かなり助けていただきました。


最初に「モニター挙式」のカップルを募集する計画でしたがそれよりも前に、

トライアスロンで長年五島に通っているカップルから、五島で結婚式をしたいというご相談が。聞けば、結婚式場がたまたまその日はどこも空いておらず、知人の紹介でまだきちんとブライダル事業をオープンしていないte to ba <手と場>に相談しに来てくださったのです。

結果、真冬の2月にしては暖かい日に、ハレの日を迎えることができました。

その時の様子はこちら

その後、予定していたモニター挙式もなんとか開催することができました。

その時の様子はこちら


本当にたくさんの人の笑顔を見ることができたのですが、その時すでにコロナの影響が拡大していたころ。

あと1週間遅ければ開催できていなかったであろう、そんな時でした。

結果、モニター挙式についても、その前の結婚式についてもとてもとても素敵なハレの日だったのですが、現在もまだ、なかなかプロモーションができていない状態です。



ただ、GOTOキャンペーンなどがはじまり少しづつ人の出入りが多くなった五島なので、そろそろPRを再開してもいい頃だろうとは思っています。

今後の事業について

te to ba <手と場>は、年が明ければ3年目を迎えます。

2020年も残りあと2ヶ月とちょっととなります。いろいろと大変なことも多い年でしたが、この騒動があったからこそ気づけたことやチャレンジできたこともたくさんありました。

また、まだあまり詳しくはかけませんが新しい何かが始まる予定です。

すごく嬉しいお声がけをいただき、これはもうご縁としか言いようがないきっかけでしたが、新しいフェーズへとte to ba <手と場>は向かっていこうとしています。


今はkeiと二人ですが、相変わらず一緒に夢に向かっていける仲間を募集しています。


te to ba <手と場>は正直、小さな会社で(2019年に法人化しています)安定したお給料と定時で帰れる仕組みなど・・・まだまだ試行錯誤しているところではありますが、それ以上に自分で考えて何かをやりたいと思う人にとって、やりがいを感じることができるのではないかと思っています。


求人応募いただいた場合、徹底的に面接というより両者ともに話し合い、わからないことなど無くして、お互いに一緒にやれそうだねとなった時に仲間になってもらおうと思っています。なので少しでも気になることがあったらどうぞお気軽にお問い合わせください。

面接と思わず、座談会だとでも思って。


五島で事業を始めたい人へ

私が偉そうに何かを言える立場ではないのですが・・・。

①の暮らしのことについてでもちょっと触れました。


今、五島ではすごく素敵なお店がたくさん増えていたり新しい取り組みがどんどん始まっています。今すでにもう、たくさんの素敵なコト・モノが溢れていて、かなり豊かになっているなと感じています。


そのため新しくこの島で何かをしようと思った時に

その新しい何かが、本当にこの島にとって新しいことか、ありふれたモノでないか、を見極めなければいけない・・・と感じています。


自分自身がやっている、カフェ・ゲストハウス は、多くの移住者がやりたいとおっしゃることだそうです。


私、両方やっちゃってるので何も言えないケド、そういう現実だということを理解しなくてはと思っています。


補助金にエントリーできるのでチャレンジしやすい環境はありますが、

あくまでも補助金はオープンするまでの資金で、オープンした後の資金は全くみてくれません。自分で稼いでいかなければいけないので、差別化や自分自身の経験で本当に価値のあるものを提供できるのか、または本当に必要とされているかを見極めていかなければいけない・・・と自分自身に言い聞かせております・・・!



あとよく

「自然に憧れて」「自給自足がしたくて」

なんていう理由で五島に来てくれる人も多いですが、自然の怖さや、自給自足の大変さなんてのも事前に知っておいた方がいいかもしれません。

私は台風のたびに、周りの人に大変ご迷惑をおかけしてなんとか生き延びているので、もう、とても自給自足ができるとは思っておりません・・・笑


さて・・・

またまた長いブログになってしまいました。


結構お金のこととか、もっと突っ込んで聞かれることもあるのですが

その辺はこのあたりで勘弁してください(笑)



また移住についてなどもっと心の中のことなどもちょこちょこ書いていけたらとは思います。


読んでいただきありがとうございました。




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​©te to ba <手と場> 2018

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