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  • 執筆者の写真te to ba <手と場>

「サンゴの町の片隅に新たな文化拠点をつくる」〈旅と富江〉⑤



「人生の3冊」に出会える小さな図書館



築80年の古民家を改修して2016 年にオープンした「さんごさん」は、大 学教授 や漫画家、五島のバスガイドさ んから農家さんまでおよそ170人の 「人生ベスト3の本」が並ぶ一風変わった図書館だ。






「さんごさん」という名前はもちろんサンゴ漁で栄えた富江の歴史に由来する。



図書館の館長を務める大島健太さ んは神奈川県からの移住者。かつての賑 わいを失い、人口流出の進む富江だが「わざわざ富江を目指して人が集まってくるような新しい文化を町に生み出したい」 と志は高い。






館内では大島さん自らが焙煎したコーヒーの販売をしている。また ポットラックパーティーや アートイベ ントなどを企画し、町に新たな交流の輪を生み出し続けている。






夢とロマンに散った男たちを偲ぶ〜富江サンゴの遺跡巡り






「最初のころは、サンゴ船に乗るといい銭になるから乗った。(中略)しかし今は違う。

おれも金吾も、サンゴが好きに なったのだ。海の底にある、あ のサンゴという美しいものを引 き上げる喜びがこのごろ分るよ うになったのだ。(中略)この世 でもっとも美しいものを自分の 手で引き上げたという満足感は たとえようもないほどすばらし いものだ。」 富江のサンゴ漁を描いた新田 次郎のベストセラー小説『珊瑚』 の一節だ。男たちは様々な理由 でサンゴに魅せられ、一握りの 者は成功し、多くの人々は夢半 ばにして大海原に散った。その 歴史的遺産は富江の町の随所に残っている。





明治 38 年に男女群島の女島沖で台風によって遭難した人々の墓碑。



富江の中心部にある大蓮寺。大蓮寺には男女群島で遭難した人のお墓がある。  





妙泉寺にある供養碑。明治 39 年の台風で遭難した人々の名前が 刻まれている。





富江を一望できる只狩山に ある「珊瑚の碑」。新田次郎の小説「珊瑚」の出版を記念して建てられた。


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